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吉開菜央&清原惟 真夏の渋谷対談 |
愛知芸術文化センターの「身体」をテーマとした映像企画として制作された2つの作品『まさゆめ』(2026)と『A Window of Memories』(2023)が今、ほぼ時を同じくして劇場公開されようとしている。
『まさゆめ』の吉開菜央は、『ほったまるびより』(2015)、『Grand Bouquet』(2019/カンヌ国際映画祭監督週間上映作品)、『Shari』(2022/ロッテルダム国際映画祭短・中編部門上映作品)らの監督作品、小田香監督作品『Underground アンダーグラウンド』(2024)への出演で知られる、映像と身体表現の可能性を探求し、独自の映像世界を創り上げてきた映像作家・ダンサー。
『A Window of Memories』の清原惟は、長編デヴュー映画『ひとつのバガテル』(2015)がPFFアワード入選、続く『わたしたちの家』(2017)はベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映、上海国際映画祭では最優秀監督賞を受賞、『すべての夜を思い出す』(2022)も北京、ベルリン、釜山、サン・セバスチャンの各国際映画祭で上映され、国内外で着実な評価を積み上げている映画監督兼映像作家である。
このふたりの異なる個性を持った映像作家の2つの新作は、たまたま同じ時期に制作され、公開されつつあるというだけで、実は互いに似ても似つかない作品だが、共通しているのは、いずれも少人数で制作されたインディペンデント映画ということである。吉開菜央は『まさゆめ』に自らの人生を全面的に投入し、清原惟はふたりの祖母の記憶から戦後80年に及ぶ日本女性の肖像を生起させる『A Window of Memories』を作り上げた。
清原惟監督の『A Window of Memories』を試写で見た後、私はたまたま同じ回を見ていた吉開菜央さんに、「清原惟さんと対談するというアイディアはどうですか?」と話しかけたことから、この真夏の渋谷における二人の映像作家の初対談が実現した。
1. 『まさゆめ』と『A Window of Memories』の制作体制について |
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OUTSIDE IN TOKYO(以降OIT):本日は酷暑の中、お越しいただきありがとうございます。
吉開菜央さんの『まさゆめ』(2026)と清原惟さんの『A Window of Memories』(2023)は、どちらも「身体」をテーマに、愛知芸術文化センターのオリジナル映像企画として制作された作品です。お二人は以前から面識はあるものの、じっくりお話しする機会はあまりなかったとうかがいました。そこで今回は、お二人で作品について語り合っていただければと思い、この場を設けました。 お互いの作品は試写でご覧になっていて、SNSでもエールを送り合っていらっしゃる様子を拝見しています。率直に言えば、私が質問を重ねるよりも、お二人が自由に対話された方が、より実りあるお話になるのではないかと思っています。それでは最初に、吉開さんの『まさゆめ』についてうかがいます。まずは制作体制について簡単に教えていただけますか。今回も北田雅也さんによる音響が非常に研ぎ澄まされていて、とても印象に残りました。
『まさゆめ』© WHITE LEOTARDS
吉開菜央:そうですね。北田さんには『ほったまるびより』(2015)以来、ずっと音響をお願いしています。実は音響だけでなく、編集についてもアドバイスをいただいていて、その助言を受けて構成をかなり大きく変えた部分もありました。撮影はすべてではありませんが、禅寺で私が修行しているシーンや、秋吉台の草原のシーン、雪景色の中を歩くシーンなど、作品の核となる場面は小田香さんに撮っていただきました。他にも実はカメラマンは全部で5人くらいいます。
乳房で「乳房山」を作り、その山頂からミルクを流すシーンは、8ミリフィルムの撮影に慣れたプロの方にお願いしましたが、他のシーンでは私自身もところどころ8ミリで撮影しています。禅寺での修行のシーンは、撮影クルーは私と小田さんだけでした。撮影が終わると小田さんは帰り、その後、私が他の修行者の皆さんを撮影するという形です。秋吉台でダンサー6人ほどと撮影したフィクションのシーンでは、振付家の関かおりさんに参加していただきました。さらに、山口県秋吉台の地元の方がお二人手伝ってくださり、その様子を小田さんが撮影するという、本当にコンパクトなチームで制作してました。 OIT:その後、編集の作業は結構大変だったのでしょうか?
吉開菜央:愛知芸術文化センターの企画は、制作期間が基本的に1年間なんです。だから3月末までに作品を納品しなければなりません。オフライン編集を固める期間は比較的短く、1月から2月にかけて撮影を行い、3月末に完成させるというスケジュールです。ただ、その後、翌年の9月か10月頃に愛知でお披露目する機会があったので、それまでにブラッシュアップする時間はありました。最終的な編集作業は、比較的余裕を持って進めることができましたね。
OIT:なるほど、じゃあ清原さんの方も同じようなタイムスパンだったのですね。
清原惟:そうですね。一年間の中で一応制作は全て終え終えたという感じです。
『A Window of Memories』©Yui Kiyohara
OIT:清原さんの『A Window of Memories』の制作体制も、どのような感じだったのか教えて頂けますか。
清原惟:はい。まず、おばあちゃんのシーンはすべて私が撮影しています。本当におばあちゃんと一対一で作っていった場面です。朗読のシーンは6人ほどの小さなチームで制作しました。朗読を担当してくださったお二人に加えて、撮影の寺西涼さん、録音の岩崎敢志さん、助監督の太田達成さんが参加しています。キュッとミニマムな体制で作りました。
OIT:太田さんは『石がある』(2022)の人ですね。
清原惟:そうです。 太田さんとは、お互いに制作に入りあって作ったりしているので、今回も、太田さんと岩崎くんには、撮影現場だけでなく、作品をどのような構成にしていくかという段階から参加してもらって、アイデアを出し合いながら制作を進めました。結構、3人でじっくり話し合いを重ねながら作品を作っていったという感覚がありますね。
OIT:『石がある』は、いまだに結構印象に残っていて、味のある映画でした。太田達成さんにはまた是非、映画を撮って頂きたいですね。そして、今回はご自分たちで配給と宣伝もやってらっしゃいます。
清原惟:配給と宣伝はamieeeという友人たちと結成したチームの3人で行っています。宣伝については、プンクテさんに協力という形で入っていただいていますが、基本的な運営は3人で行っています。この作品を「どう届け、どう広げていくか」というところまで、自分たちで取り組んでみたいという思いがありました。制作自体も小さなチームで作った、手作り映画ということもありますし、自分のおばあちゃんを題材にした非常にパーソナルな作品でもあるので、届け方についても、自分たちの手で一つひとつ届けていくのがふさわしいのではないかという思いから、自主配給という形を選びました。
OIT:宣伝は今まさに佳境でしょうか。
清原惟:そうですね。パンフレットは先週ようやく入稿したばかりで(笑)、本当にギリギリでした。デザインはデザイナーの方にお願いしましたが、編集は私自身が担当しました。掲載する内容や構成についても、自分で考えながら作りました。そうしたパンフレットづくりも含めて、この映画をどのように観客へ届けるかを自分たちで考え、形にしていけることが、自主配給の大きな魅力かなと。
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『まさゆめ』
8月28日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
2026年/⽇本/カラー/5.1ch/110分
監督・出演・編集:吉開菜央
出演:北村思綺、髙宮梢、真壁遥、内海正考、⼤迫健司、佐藤桃⼦、⼩池陽⾹、仲本拡史、加藤⼤輝、Osono、岩渕貞太、関裕美、吉開章⼦、吉開元彦、吉開⽉柊
振付:関かおり
撮影:⼩⽥⾹、吉開菜央、宮川真⼀、横江れいな、仲本拡史
照明:加藤⼤輝
美術:加藤⼩雪(TASKO Inc.)
⾳楽:涌井智仁(⼤橋可也&ダンサーズ「END THE WORLD」より)
⾳響:北⽥雅也
カラーグレーディング:⻑崎隼⼈
エグゼクティブ・プロデューサー:越後⾕卓司
プロデューサー:吉開菜央、杉原永純
デザイン:畑ユリエ
企画:愛知芸術⽂化センター
制作:愛知県美術館
協⼒:宝泉寺禅センター
配給:ホワイトレオターズ
配給協⼒・宣伝:ブライトホース・フィルム
© WHITE LEOTARDS 映倫区分:G
公式サイト:https://naoyoshigai.com/masayume

『A Window of Memories』
8月7日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか 全国順次公開
2023年/日本/67分/カラー/G
監督・編集:清原惟
出演:砂子旭子、清原磋智子、小山薫子、坂藤加菜
テキスト:砂子旭子、清原磋智子、清原惟
構成:岩﨑敢志、太田達成、清原惟
撮影:寺西涼、清原惟
音響:岩﨑敢志
助監督:太田達成
音楽:よだまりえ
エグゼクティブ・プロデューサー:越後谷卓司
プロデューサー:清原惟
企画:愛知芸術文化センター
製作:愛知県美術館
配給・宣伝:amieee
宣伝協力:プンクテ
デザイン:明津設計
公式サイト:https://awindowofmemories.com/
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