OUTSIDE IN TOKYO
MIYAKE SHO INTERVIEW

三宅唱『きみの鳥はうたえる』インタヴュー

4. クラブのシーンは、みんなでラッシュを見て、よしっ!となりました

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OIT:まさに、三人に限らず、渡辺(真起子)さんとか萩原(聖人)さんも素晴らしかったですね。明け方のシーンで酔った二人が花を移動する場面がすごい美しかったのですが、空の色とか、あれは実際に明け方だったんですか?
三宅唱:本当の明け方ですね。この映画には三回明け方があって、夜明けの直前と、夜明けとほぼ同時と、夜明けしたちょっと後ぐらいの時間と、色々な朝を撮れたと思います。

OIT:クラブの照明のブルーとも関係しているのでしょうか?
三宅唱:わかりません。撮影の四宮秀俊さんと照明の秋山恵二郎さんが一体どんな打ち合わせをしたのか、それは僕の与り知らないところで、結果を見て驚きました。とても気に入っています。

OIT:カメラポジションは相談する場合があったり、(四宮さんに)決めてもらう場合があったり、ケースバイケースなんですか?
三宅唱:ケースバイケースですね。ただ今回は今まで以上に、僕は役者と一緒にいることを大事にしようと思ったので、四宮さんとはある程度簡単なルールを事前にすり合わせていました。

OIT:ラッシュとか見ながらやっていったんですか?
三宅唱:撮影中ですか?ほとんど見てないです。でもクラブのシーンだけは見ましたね。このシーンは体感としては手応えがあったけれど、僕はほとんどカメラ横におらず、モニターも見ていなかったので、ちゃんと確認しておきたかった。ちょうど次の日が撮休、休みの日だったのもあり、みんなも見たがっていて、みんなで見まして、よしっ!となりました。それで、さあ休み明けも頑張ろう!みたいな。

OIT:なかなか珍しいケースですよね。
三宅唱:どうなんでしょうか。僕にとっては(むしろラッシュを見る方が)珍しかったですね。単純に体力的な問題、素材を取り込んで変換したりという物理的な時間が、僕自身にとっても撮影部にとっても負担になるので。

OIT:キアロスタミは、(たまたま夜のシーンがない作品『トスカーナの贋作』だったからか)昼間に撮影をして、夜は食事をしてラッシュを見る、と語ってくれましたが、それは結構優雅なことなんでしょうね。
三宅唱:僕は、夜は次の日の準備をすることが多いですかね。『きみの鳥はうたえる』の後に撮った『ワイルドツアー』は、ほぼ週末のみの撮影で、自分が撮影部も兼ねていたので、平日はラッシュを毎日見ていましたが。

OIT:実際のシーンについて、もう少し伺いたいのですが、三人が店から出て来て、今日はこれで別れようって言って、<僕>と静男の二人と佐知子が別れる時に染谷さんの表情が映ったんですけど、本当に飲んでないと出来ないような表情だなと思って見てたんですけど、実際、飲んでいたのでしょうか?
三宅唱:あのシーンが飲んでいたかは覚えてないですけど、他では実際に飲んでるシーンもあります。飲まなくたって酔っ払った演技が出来るのが俳優の仕事でもあるから、飲んでとはあまり言いたくないんですが、でもこの映画に限っては、酒飲んでちゃんと耳の先まで赤くなる、そんな肉体を撮ることも必要だと思っていたので、ここは飲んで欲しいって伝えたシーンもありました。

OIT:あの時の染谷さんの表情はどうも演技に見えなかった、それは映画のマジックかもしれないけれど(笑)、これも演技だったら凄いなと。
三宅唱:確実に演技として裏打ちされたものだと思います。将太とは長年の友人ですけど、仕事をするのは今回が初めてで、今や日本を代表するスターですけど、本当にいい役者だなって何度も思いました。


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