OUTSIDE IN TOKYO
MIYAKE SHO INTERVIEW

三宅唱『きみの鳥はうたえる』インタヴュー

5. 佐知子がどれだけ輝くか、石橋静河がどれだけ輝けるかっていう映画

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OIT:ところで、柄本さんて、大きい人だったんだなという、今更ならがらの発見がありました。
三宅唱:それを皆さんが言うのが僕には意外でした。

OIT:わざと大きく撮ってるのかなと思いながら見たけど、そんなこともない。
三宅唱:そんなことない、そんなことない。僕からすれば背の高いセクシーな男だなっていうのが第一印象です。

OIT:あの喋り方は作ったのでしょうか?
三宅唱:そうですね。現場で一緒にその都度作っていったところです。どこまではっきりものを言うのかとか、ある程度これはごちゃっとしてる方が面白いのかとか、そのシーンごとに色々試すことが出来た現場だったなと思います。時間はかかりましたけど、時間をかけることに意義を感じていました。

OIT:撮影期間は三週間でしたっけ?
三宅唱:そうです、ざっと三週間。

OIT:撮影以前に、三人とは友達的な感覚ですでに付き合いがあったのですか?
三宅唱:そうですね、それなりに。みんな忙しいので、現場前の準備期間で言えば、将太とは一回喫茶店で軽く話したぐらいですが、数年前まではよく遊んでいました。佑はこれが決まってからは定期的に一緒に飲んだり、彼の監督作の『ムーンライト下落合』(17)の現場に助監督として誘ってもらったりと、特別な時間がありました。石橋さんとも会ってから半年の間に3本、短編『NAGAHAMA』(17)『八月八日』(17)と、時代劇『密使と番人』(17)を一緒に作りました。そうやって映画を作りながらコミュニケーションをとって、その前後で一緒にお茶したり、そういう時間は重要だったなと思います。

OIT:三人が揃ったのは撮影の時が初めてですか?
三宅唱:函館に入ってからです。佑と将太が「久しぶり!」って言い合ってたんで、多分『東京島』(10)以来ですかね。あ、でもバウス(シアター)がなくなる前に将太と映画観にいった時に、たまたま佑が同じ回を観に来ていて、将太が紹介してくれましたね。その時は、一言二言で。

OIT:吉祥寺にバウスがあった頃ですね。
三宅唱:はい、爆音上映ですね。

OIT:石橋さんが素晴らしいということは、この映画を観る前から僕も知ってはいましたが、本当に素晴らしくて。
三宅唱:本当に素晴らしいですよね。

OIT:本当に素晴らしくないと困るっていう役柄でもありますけど、本当に素晴らしい(笑)。
三宅唱:ですね。

OIT:あの「オリビアを聴きながら」は、スカバージョンでした。
三宅唱:そうです、ハナレグミと東京スカパラダイスオーケストラで。

OIT:あの辺の選択にも、クラブカルチャー経由というか、日本のクラブカルチャーが入ってる映画だなっていう感じがしますけれども。
三宅唱:ここは石橋さんの選曲でした。今おっしゃられた通り、佐知子がどれだけ輝くか、石橋静河がどれだけ輝けるかっていう映画なので、ここで何を歌うのか、一方的に指示するのではなくて一緒に考えることにして、お互い5曲ぐらいずつ持ち寄ってカラオケ行って、どれが一番いいだろうねって。あの曲は彼女のカラオケの十八番の一つだと聞いていますが、単純にめちゃめちゃよかった。また歌詞も絶妙で。

OIT:まさに(笑)。出会った頃は〜♫
三宅唱:making good things betterって言葉もいいなと。いい曲だなと改めて思いましたね。

OIT:ちなみにあとは、どういう候補があったんですか?
三宅唱:全然覚えてないんだけど、「はっぴいえんど」はありました。

OIT:世代的には結構違いますね。
三宅唱:いや、今はYouTubeやspotifyとか色々あるから、歴史がごちゃ混ぜというか、あんまり世代は関係ないのでは、と僕は思います。だからこそ、なんでもアリだとおもったので、候補曲を選ぶのに僕が悩んでしまって、撮影ぎりぎりまで決まらなかったですね。


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