OUTSIDE IN TOKYO
YOSHIGAI NAO INTERVIEW

吉開菜央『吉開菜央特集:Dancing Films』インタヴュー

2. 「静坐っていうのは30分間ただ座ることなんだ」

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OIT:今『静坐社』の話が出ましたけど、この岡田式静坐法っていうのはまさに呼吸を整えたりとかっていうことも入ってくると思うんですけど、それに取り組む前から呼吸に関してはそういう感覚があったっていうことですよね?
吉開菜央:そうですね、ちょうど『静坐社』を撮る前、『ほったまるびより』が終わってからヨガを始めたんです。それで呼吸によって体の自律神経や副交感神経をコントロールするみたいなことを自分でも実感していました。ヨガに伴って禅の本もすごく読みました。
OIT:じゃあ割と自然に『静坐社』を撮ることになったという流れでしょうか?
吉開菜央:でもきっかけはありました。『ほったまるびより』でスチール写真を撮ってくれた黑田菜月さんが、京都に住んでいる建築史を勉強している方と知り合いで、静坐社っていう家が取り壊されちゃうから、とにかく記録に残したいっていうことで呼ばれて行ったんです。そうしたら「静坐っていうのやってるんだよ、静坐っていうのは30分間ただ座ることなんだ」っていう話をされて。それを深く聞いたり、静坐の手引きみたいものを読んでる内に、こういうことをやってる団体がいたんだっていうことを含めて、凄く面白くなってきて、丁度その時、私が呼吸のこととか、色々と理解を深めていたことも盛り込んで作っていきました。
OIT:<せいざ>というと一般的には正しく座るという字を書きますが、こっちの方がいいですね。
吉開菜央:そう、皆さんそうおっしゃるんです。その家にあった手引きの本の表紙に「静坐社」って文字があるんですけど、それを最後のタイトルでも使っています。シンプルで、ある意味で宗教だったんだろうなとも思いますけど、活動はすごく興味深かったですね。
OIT:例えばディヴィッド・リンチは瞑想をやっていたり、アーティストやクリエイターの精神的な部分って面白いなと思うんですけど、吉開さんが生活の中でヨガを始めて、それが作品に入ってくるっていうのは、有機的なサイクルの中で作品を作られている感じがしていいなと思いました。吉開さんの場合は、振り付けが一番最初のキャリアですか?
吉開菜央:自分が踊る、パフォーマーが最初のキャリアです。その後映像を始めて振り付けもやったりとか、同時進行で今もやっています。
OIT:映画作家、映画監督としてのご自分というのは、例えばこれからもっと比重が増えていくのか、あるいはそれは分からないとか、感覚としてはどうでしょう?
吉開菜央:今の活動の軸はやっぱり映画を作ることですね。正直に言うと、パフォーマーはやるけれどもメインの活動ではないと思っています。だからミュージックビデオに出てくださいって依頼される時も、私は出る専門ではないっていうことはお伝えしています。振り付けは仕事で引き受けられますが、やっぱり自分の名前で全責任もって作品ですって出せるのは映画だと思っています。
OIT:『静坐社』と同じ年に『みずのきれいな湖に』を撮られていますが、だいたい同じ頃に作られたってことですか?
吉開菜央:そうですね、2017年に3つ作ってます。
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