OUTSIDE IN TOKYO
YOSHIGAI NAO INTERVIEW

吉開菜央『Shari』インタヴュー

2. 石川さんと「写真ゼロ番地 知床」のメンバーさんに、
 こういうのが撮りたいですって、6分くらいでまとめた
 ナレーション付き紙芝居動画を送った

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OIT:映画に最初に登場する小和田さんがとても元気というか、生命力に溢れている感じの方で、そこからスタートして、映画のトーンが出来ていったのかなという気がしましたけれども。最初に行かれた時にシナハンみたいなことをされたのですか?
吉開菜央:そうですね、春に仕事で行かせてもらった後に、もう一回一人でちゃんと行ってみようと思って、夏に一週間休みをとって行きましたね。
OIT:その時に、ここで撮りたいとか、人に会ったりとかをされたわけですか?
吉開菜央:そうです、本当にノープランで行ったんですけど、「写真ゼロ番地 知床」のプロジェクトメンバーさんが、私が来た日に、いきなり夕ご飯会を開いてくれて、どこに行ったらいいですかね?て聞いてみたら、斜里岳登ったらいいよとか、鹿の屠殺する様子を見てみませんか?みたいな感じで、どんどん話が進んでいって、地元の人の案内がないと行けないようなところに連れて行ってもらえたんです。だから本当に毎日毎日、誰かに何処かへ連れて行ってもらってました。
OIT:そこで、今回の作品に出てくる方々と大体知り合ったんですか?
吉開菜央:モモンガを観察してる桜井さんとはまだその時には知り合ってないです。秘宝館の三浦さんのことも、その時に小和田さんにどこか面白いお家ないですか?って聞いて、秘宝館に行ってみたらって教えてくれたんです。あと漁師の伊藤さんも、「写真ゼロ番地知床」メンバーの馬場さんという方が、凄く伊藤さんのことを尊敬してて、「男の中の男がいるんですよ、斜里には」って言って紹介してくれたんです。それで、お家にも行かせてもらって、漁船にも乗らせてもらいました。鹿猟をやってる川村さんは元々「写真ゼロ番地 知床」のメンバーなので、もう既に知り合ってました。
OIT:そこからシナリオ的なものを作ったんですか?
吉開菜央:そうです、紙芝居を作りました。夏に行った時に、こんな始まり方はどうかなってイントロ部分だけは思い付いて、それで東京に帰ってきてから、斜里で会った人と喋ったこととか、斜里のイメージ、印象みたいなのを思い返して、そこからどう展開していこうかなっていうことを最後まで考えて、それを紙芝居にしたんです。でも紙芝居をただスキャンしてPDFで送っても伝わりづらいだろうなと思ったんです。映画撮影は初めての町の人達ですから。より想像しやすいように、今回は紙芝居を全部スキャンした絵に自分の声でナレーションを当てて、ナレーションつき紙芝居映像にして、映画のイメージを伝えました。
OIT:その段階でもうナレーションを入れてみたわけですね。
吉開菜央:画だけを見ていても、わたしの画力の限界もあり、絵だけではなにがどうなっているのか伝えられないだろうと感じたので。でも最初の段階ですでに、山の上では雲と風が拮抗しているっていうナレーションはありましたね。
OIT:冒頭の部分ですね。
吉開菜央:そうです、あと、“投げても投げても”という歌みたいなラップみたいなナレーションもありました。それらを6分くらいにまとめたナレーション付き紙芝居動画を、石川さんと「写真ゼロ番地 知床」のメンバーさんに、こういうのが撮りたいですって送ったんです。
OIT:それで伝わったのですか?
吉開菜央:正直どのくらい伝わったかは分からないです、抽象的なイメージの連続なので訳わかんないと言えばそうなんですけど、それを見た知床の人も、二人ぐらいがすぐ連絡をくれて、これめっちゃいいねみたいな、凄い楽しみだよ、絶対撮ろうみたいな感じで言ってくれた。石川さんも、いいね、面白そうだから自分が撮影したいって言ってくれました。
OIT:やっぱりそういうリアクションがないと、なかなか進められないですよね。
吉開菜央:そうですね、今回予算もそんなにないし、地元の方と一緒につくる映画なので、斜里の人に受け入れてもらえないと撮る意味ないよなと思っていて、そこでまず一つ、みんなが前のめりになってくれたっていうのは良かったですね。

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