OUTSIDE IN TOKYO
YOSHIGAI NAO INTERVIEW

吉開菜央『Shari』インタヴュー

9. (子どもたちが)みんな“赤いやつ”になればいいのにって
 気持ちでやりましたけど、なかなかこっちに来てくれなくて

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OIT:ご覧になったのは地域の大会ですか?
吉開菜央:全国大会です、わんぱく相撲女子全国大会です。もう、全然知らない家の子の真剣勝負見てるだけなのにめちゃくちゃ泣いちゃって、それで、相撲いいなって思ったんです。
OIT:テレビじゃなくてYouTubeなんですね。
吉開菜央:YouTube。女子って上半身裸になれないから、上にTシャツを着るんですよ、それでTシャツを掴んだら反則なんです。でも掴むに決まってるじゃないですか、だから結構何回もピッて笛吹かれて止められたりしてるけど、なんかそういうのとかも結構グッときちゃって。
OIT:それはあんまり知らない領域でしたけど面白いですね。作中では、“赤いやつ”が襲ってくるんですけど、あれは子ども達には知らせてなかったんですか?
吉開菜央:もちろん言ってないです。でも実は一人だけ知ってたんです、“赤いやつ”の中に私がいるって。“赤いやつ”の衣装を作るワークショップに来てくれた女の子が一人だけいたから、言っちゃダメだよって言って、OKみたいな感じで。
OIT:驚いてる様が結構見事に撮られていて(笑)
吉開菜央:あれ凄かった、全然子どもによってリアクションが違いましたよね(笑)
OIT:余裕で笑ってる子がいて、泣きまくる男子を余裕で慰める女子がいましたけれども、あの女子が知っていた子ですか?
吉開菜央:いやいや、あの子は全然知らなったですね。でも確かに普通に全然泣かない子もいたりしました。
OIT:男子の方がよく泣くとか、そういうことはありましたか?
吉開菜央:男女同じぐらいの比率で、もう無理、この体育館から出してって泣き出す子どもがいて、たぶん5名ぐらいは外に出ていきました。逆に、普通に“赤いやつ”に挑んでくる子も、女子も男子も同じ比率でいました。本当に様々です。
OIT:挑む子は自然に挑むんですね。
吉開菜央:そう、みんなも来い!みんなであいつを倒そう!て言ってみんなを煽る子がいるんですけど、だれも来ないから最終的に一人で挑んでくる、その子を私がガシって受け止める。
OIT:あの場面は、ああいう風に子ども達を真っ赤に染められたらいいなっていう演出意図であのようなことになったんですか?
吉開菜央:そうです、もうみんなごちゃ混ぜになって、みんな“赤いやつ”になればいいのにって気持ちでやりましたけど、なかなかこっちに来てくれなくて、みんな逃げちゃうんですよ。ギリギリまでは面白がって来るけど絶対触ろうとはしない、なんかアクリル絵の具が臭かったらしくて、臭い臭いってずっと言われてました(笑)。
OIT:それは嫌ですね(笑)。
吉開菜央:それで逃げるから、途中からはどうやったらこの子らをおびきよせて羽交い締めに出来るかなと思って、死体のふりをしたりしていた。
OIT:それで何人か引っ掛かったと(笑)。
吉開菜央:そうそう(笑)。押して駄目なら引いてみろ作戦でした。
OIT:念願の子ども相撲が実現して何よりです。

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